工藤豊章さん

山形県庄内町で、約18ヘクタールもの広大な田んぼで米作りに励む工藤豊章さん。 地元で開催された「第19回あなたが選ぶ日本一美味しい米コンテスト」で工藤さんが出品する「つや姫」が見事、メジャー部門優良金賞に入賞を果たしました。最新技術と緻密な管理で美味しいお米を追求する工藤さんに、米作りのこだわりや農業への熱い想いを伺いました。
コンテストへの想いと、ご自身の米作りの強みを教えてください。
庄内地域には恵まれた気候風土があり、「亀の尾」など先人から受け継がれてきた米作りの歴史と技術があります。 この豊かな自然と伝統技術で育てたお米をしっかり評価していただきたいという思いが、コンテストに対する原動力です。 美味しいと言ってもらえるお米を作り、次の世代へと農業を繋いでいきたいと強く思っています。 美味しいお米を作るために、稲の生育に合わせて適期に作業することを心がけています。特に水管理をしっかり行い、無駄な栄養を使わせず良質な粒を確保する栽培技術を追求しています。 昨年は夏場の天候にも恵まれ、「つや姫」などの品種で収量・品質ともに非常に良い結果を出すことができました。
米作りでのこだわりや、導入している工夫・技術について教えてください。
私が最もこだわっているのは、初期生育の要となる「苗作り」です。 苗作りを失敗するとその後の成長に大きく悪影響を及ぼすため、ハウス内にWi-Fi環境を導入し、スマートフォンで温度監視を行っています。 品種や成長段階に合わせて最適な温度管理を徹底することで、理想的な苗を育てています。 また、昨年からはトラクターや田植機に取り付ける自動操舵も導入しており、省力で正確な作業が可能になったことで大幅な効率化が実現しました。 一方で、品種ごとの栽培管理の違いには非常に気を配っています。 「雪若丸」や「つや姫」など、品種によって手入れの仕方が異なり、特に6月中旬頃に田んぼの水を抜く「中干し」のタイミングや期間と、中干し後の追加で肥料を散布するタイミングと量は、収量と品質に大きく影響するので適切な時期の見極めが重要です。

農業の面白さや、今後の目標についてお聞かせください。
農業の面白さは、何と言っても「物作り」の喜びに尽きます。 失敗を糧に改善を重ねて自身も成長し、収穫の時期に大きな達成感を得られることが何よりのやりがいです。 自分が作ったお米を食べて「美味しい」と喜んでもらえることが、毎年農業を続ける最大のモチベーションになっています。 現在、コンバインなど農業機械の高額な投資コストや、米価の変動といった厳しい経済的課題があり、若者が参入しにくい現状があります。 また、将来的な労働力不足で日本の米作りが維持できなくなる懸念もあります。 だからこそ、美味しいお米を作り続けることで農業のやりがいを示し、次世代へ継承していくための基盤を作っていきたいと考えています。
普段の食事や、おすすめの食べ方を教えてください。
私自身、毎食お米を食べており、「雪若丸」を土鍋で炊いて食べています。ふっくら炊き上がり本当に美味しいです。おにぎりも大好きで、定番の鮭や梅干しはもちろん、コーンバターやサバとシソを具材にするのもおすすめです。 庄内町内の飲食店でもうちの「雪若丸」を使っていただいており、粒立ちが良く美味しいとお客様から好評だと聞いて大変嬉しく思っています。 今年の生育状況については、「つや姫」の登熟に少し心配な部分もありますが、「はえぬき」や「雪若丸」は順調に育っています。
消費者の皆さまへ
いつも庄内のお米を食べていただき、ありがとうございます。お米作りは天候や厳しい経済環境など苦労も絶えませんが、皆様の「美味しい」という一言が私たちの最大の喜びであり、次世代へ農業を繋ぐ希望になります。 庄内の豊かな自然と、こだわりの技術、そして愛情をたっぷり注いで育てた自慢のお米です。 ぜひ、毎日の食卓でたくさん味わってください。 これからも皆様に喜ばれるお米作りを目指してまいります。